
「今月のことば」...最近話題の環境・エコ・省エネに関することばを解説します。
今回は再生可能エネルギー(以下、再エネ)のなかでもっとも発電コストが低い「風力発電」をご紹介します。風力発電とは文字どおり風の力で風車を回し、その回転により約20~40%の風エネルギーを電気に変換する発電システムです。風車の形は主にプロペラ型が多く、細かく分類すると10種類以上の形があります。風力発電の最大のメリットは風さえ吹いていれば24時間発電できることです。その他にも温室効果ガスを排出しないなどのメリットがあります。一方、デメリットは風速により発電量に影響が出る、騒音や低周波振動で健康被害の影響がある、落雷や地震などで発電停止することがある、などがあります。なお日本では現在、比較的安定した風力を得られる北海道や東北、九州の海岸部を中心に約2,000基が稼働しています。
2018年12月の臨時国会で「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」が、可決しました。海洋再生可能エネルギーとは、海において再エネを活用して電気を生み出すことです。なかでも主に海洋上に設置される洋上風力発電は、近年ヨーロッパで低コスト化による拡大が急速に進んでおり、今後日本においても本格的な普及が見込まれています。海上は陸上に比べて遮るものがないため一般的に風の状況がよい、発電設備を船舶で輸送するため道路輸送に比べて制約が小さいなどの利点があります。洋上風力発電には、風車の基礎を海底に固定する「着床式」と、海上に風車を浮かべる「浮体式」の2種類があります。日本近海は水深50メートルを超える海域が広がっているため、水深50メートル以内に限られる「着床式」よりも「浮体式」が注目されています。
洋上風力発電の促進は、周囲を海に囲まれたわが国のエネルギー政策にとって重要です。温暖化対策という観点はもちろん、大規模開発によって再エネの大量導入を実現できます。今回の法律の成立により、洋上風力発電の利・活用が期待されています。