「見える化」が電気を賢く使う契機となった[Case532]

【契約電力増加の原因】売上増・新規設備導入など

「職場環境改善のため、2024年夏に製造ラインにスポット空調を導入しました。ほかにも新型調理設備を随時導入しており、契約電力は増えました。いかに賢く電気を使うかに重点を置き、スタッフに呼び掛けています」。こう話すのは同社代表取締役木島一哉氏。併設店「グリムハウス」での販売をはじめ、都心の小中学校ならびに高校、病院、テレビ局などにパンを納めており、1日につくるパンは約1万個にも及ぶ。2013年の電気の「見える化」導入以来、パン窯の始動時間をずらす、デマンドが目標値を超えそうになった際は空調の設定温度を調整するなどピークの分散方法を模索している。

　同社は2022年に冷凍パン生地の保冷→解凍→予熱→ホイロ（発酵）の工程をボタン1つで行える最新型の「ドウコンディショナー」を導入した。「以前から似たような機械を使っていましたが、その最新版です。朝の8時に商品を出荷しようと考えると発酵などの時間を考え、2時くらいから仕込みを始める必要がありましたが、最新のドウコンディショナーを使えば前日に仕込みを終え、翌朝7時に出勤してきたスタッフが順次窯に投入すれば、8時には製品ができあがります」。新型機器導入によりピークの分散化が図れ、業務効率の向上と働き方改革も進んだ。

「冷蔵庫・冷凍庫も新型のものに入れ替え、省エネが実現しています。ちなみに霜取りのタイミングをずらすことも検討しましたが、調べたところ、霜が付いたタイミングで稼働するタイプだったので、こちらはそのままです」と話す木島氏。工場全体を俯瞰しながら、減らせるムダな作業はないか、スタッフと相談しながら改善を図っている。今後も働き方改革を通じて労働環境向上に取り組みながら、賢い電気の使い方を模索していく考えだ。