進化する省エネ、力を合わせ全員で取り組む[Case522]

金属のリサイクルに取り組む岩本興産は環境負荷を減らしサステナブルな社会の構築に貢献すべく、ISO14001を取得し事業を展開している。同社は以前より当社の保安管理サービスを導入していたが、2019年から電気の「見える化」に取り組み始めた。その目的はムダな電気を使わないこと。相模原工場のスタッフ数は8名。責任者である山際大介氏が中心となり、使用電力量の低減と契約電力の引き下げに取り組んでいる。「当社の事業ビジョンは限りある資源を大切にし、循環型社会の構築に貢献することです。電気についてもエネルギー消費を最小限に抑えるべく、"見える化"を活用しています」（山際氏）。

工場には鉄を運ぶための電磁石のクレーンや電動ショベル、金属を圧縮するプレス機、鉄骨などの大型金属を切断するギロチンシャーなど、電気を多く使う機械が多数ある。SMART CLOCKが赤く光ると事務スタッフは工程を管理するクレーンのスタッフに無線で状況を伝える。クレーンのスタッフは進捗状況を考慮し、30分程度電源を落とせる機械を探して作業をやめるよう指示する。この取り組みにより、契約電力は13.3％低減した。現在は警報が鳴るデマンド通報設定値を契約電力より5kW低い230KWに設定。契約電力のさらなる引き下げを図っている。

さらに取り組みを通じてスタッフの省エネ意識が上がった点は見逃せない。スタッフの間では使用していない機械の電源オフや不要な個所の水銀灯を切ることなどが徐々に習慣化されていった。使用電力量は導入前に比べ40％以上低減。山際氏は「以前はどれだけ無頓着に電気を使っていたのかがわかります」と話すが、見える化が契機となり、全員の省エネ意識が向上した賜物といえる。今後の同社の課題は機械の入れ替えだが、海外製の機械などもあり、導入は容易ではない。全体のバランスを見ながら徐々に古くなった機械を新しいものに入れ替えたい考えだ。