日本テクノは2025年4月4日に設立30年を迎える。これまでの道のり、社会も当社も、一言では語り尽くせない劇的な変化のときを刻んできた。その事業変遷のありさまは、今号特別企画の記事で紹介している。
ここでは、高圧受変電設備24時間監視装置「ESシステム」の開発・販売からスタートし、電力のトータルソリューションを提供するまで拡大させていった業容の中で、ほかの電気事業者にはない強みの1つ、電気設備の保安管理を担う「まもる」分野の事業展開を追ってみたい。
現在では、当社の働きかけなどにより民間企業の参入が許されている分野だが、かつては認められていなかった。それでも、お客様の本当の望みに応えるためには、技術者が電気設備をしっかり「まもる」という事業への着手は、避けて通れなかった。
そこで、有資格者である電気主任技術者と当社が提携して保安管理業務を遂行するというビジネスモデルをつくった。現在の日本テクノ協力会・日電協(以下、協力会)である。
当社が営業活動により開拓したお客様の電気設備を、専門的に「まもる」実務は、協力会の技術者が担当する。技術者は新規開拓といった仕事から解放され、保守・点検など本来の業務に専念できる。お客様との間の契約書類の作成など手間のかかる面倒な事務作業も当社が支援する。
日本テクノによる継続的な募集活動も行う。そのため常に受け入れ可能な状態を用意する。現場経験が少ない人にも自信を持って点検業務に従事してもらえるよう入会時研修をはじめ多数の実務研修を実施。電気主任技術者としての登録時に必要な経歴書の書き方や書類提出のサポートも行っている。
そうした活動によって強固な組織を構築し、そこに賛同する一人ひとりの技術者が当社の「まもる」事業を支えるというビジネスの骨組みだ。
それでも現在は、電気保安業界の人材不足が深刻化し始めているという実情がある。再生可能エネルギー施設の急増などで、保守・点検が必要な設備は増えている。それに対し、少子高齢化や保安業務の認知度不足で技術者人材は減少傾向にある。
これは業界全体ひいては社会全体の課題でもあり、国も資格試験回数を増やしたり、必要経験年数短縮のための講習を実施する事業者の募集など対策を打ち出している。
これに応え、当社も実務短縮講習を実施できる施設と担当者を用意し、「保安管理業務講習実施者」としての要件確認を受けた。神奈川県相模原市に所有するソーラーパワービルに続き名古屋でも開催。今後は東京、大阪、福岡、札幌など、全国に順次拡大していく予定だ。
「まもる」分野の事業があったからこそ刻みつけられた30年の節目。支えてくれたのは多くの技術者だ。これからも彼らが保安・点検に注力できる環境整備を怠らず、お客様にとってなくてはならない存在として信頼を得られるよう取り組みたいと考える。
※本記事は、環境市場新聞第79号(2025年1月6日発行)に掲載された記事です。