根付いてきた省エネ活動をさらに進化させていく[Case533]

北海道檜山郡にある俄虫温泉旅館大成は、1975年の創業以来、地元市民や北海道を訪れる旅行者に親しまれてきた日帰り入浴もできる温泉施設だ。電気の「見える化」により電気の使い方を効率化したいと考え、2023年8月に日本テクノのサービスを導入した。「温泉旅館の運営に関するさまざまな費用が上がっています。電気料金については新電力切り換え後の撤退に遭い、以降、高い料金に悩まされていました。電気を"見える化"することで事態を打開したいと考え、思い切ってサービス導入を決めました」（取締役 田中佳代子氏）。

同館の電力ピークは冬で、宿泊客のチェックイン時間や宴会開始時間などに記録していたことが「見える化」によって判明した。そこで石油ストーブの併用や宴会前の空調稼働によるピークの分散化に取り組んだ。さらに使用電力量がピークに近くなりSMART CLOCKの色が変わると、調理場などの空調稼働を調整。こうした取り組みの結果、契約電力は11.9％低減した。また利用後の家族風呂やランチ後の食堂などで照明・空調などの切り忘れがないかスタッフらが見回ることで、ムダな電気を使わない習慣が徐々に根付いてきた。

2024年には補助金も活用して館内の照明をすべてLEDに入れ替えた。これらの取り組みの結果、使用電力量は6.9％の低減を実現している。スタッフ間で省エネ意識が定着してきたため、田中氏はデマンドの設定値を現在の38kWからさらに引き下げることも検討している。
「今後は増えつつあるインバウンド需要の取り組みなどを通じ、宿泊客増をめざします」（田中氏）