電気の使い方の見直しで経費低減を図る[Case529]

2024年に創業55年を迎えた杉戸自動車は顧客満足度の追求のため、サービスの拡充を図ってきた。2018年には塗装乾燥機を電化したことで契約電力が上昇。しかし、照明のLED入れ替えなどにより使用電力量の低減が図れている。代表取締役社長の泰楽秀一氏は「電気を"見える化"することでどの機器を稼働するとどのくらい電気を使うのかがわかるようになりました。むやみに契約電力を上げないために、どんな対策が有効か見えてきたので、日々の業務で実践しています」と話す。

同社の契約電力は塗装乾燥機をフル稼働した際の使用電力量がベースとなる。30分単位のデマンド値が目標設定値をオーバーしそうな際はSMART CLOCKが赤く光るため、鈑金加工を一時的に止めたり、コンプレッサーの稼働を止めたりするなどの対策を講じる。また乾燥機を使う際は洗車機を使わないことを徹底している。さらに同社はJEPX（日本卸売電力取引所）の市場価格と連動して料金単価が変化する日本テクノの市場連動型料金メニューで電力供給を受けており、単価が低い時間に積極的に電気を使う上げデマンドレスポンス（DR）にも取り組み始めた。

「日本テクノさんの卸電力市場価格が見られるサイト"環境市場"をみていると、夕方にかけて市場価格が上昇する傾向が見て取れました。塗装に関しては朝から塗装下地を整え、塗装しない箇所のマスキングを行い、塗料を配合して塗装した後、夕方にかけて順次塗装乾燥機を稼働することが多くありました。そこで試しに工程を見直し、午後は翌日に乾燥機を使うための準備にあて、翌日の午前に乾燥機を稼働してみました。結果、同じ作業を実施しても電気料金は低減されることが確認できました」。
同社では今後、市場価格の動向を踏まえ、作業工程の一部組み換えを考えている。