日本テクノが設立して2025年4月で30年。当初5人でスタートした会社が、従業員1500人超、日本テクノ協力会・日電協会員1500人超、グループ全体で3000人を超える組織になった。
環境市場新聞は当社の事業そのものが環境保全につながることを周知しようと2005年7月に自社媒体として刊行した。電力業界の動向なども加えて発信を続け今年20年になる。このTechno's Thinkingも2010年夏号からの連載で15年を数える。
この節目が重なる機に、あらためて当社事業とそこにある思いをまとめてみる。
全国で約7万件あるお客様の多くは高圧の電気を使う中小企業だ。自社業務に熟練する人材はいても電気の専門家が在籍する事業所は少ない。それでも高圧受変電設備を使用していれば、資格を持つ電気主任技術者の点検義務があり、安全管理の責任もある。
日本テクノはこの点検業務にESシステムを補完し、停電・漏電・トランス温度監視・瞬時電圧低下を24時間遠隔監視することで安全と安心を提供してきた。夜間に停電事故が発生しても可能な限り翌営業日には事業が再開できる体制を構築している。
電気使用状況の「見える化」にも取り組んだ。SMARTMETER ERIAのモニター画面で省エネ目標に対する進捗状況を表示した。一目で判断できるので、社員だけでなくアルバイトやパートでも無駄な電気を消すタイミングがわかり省エネ活動が進む。さらに壁掛け時計に電気の使用状況を示すSMART CLOCKを開発し、事業場全体の省エネ意識向上に貢献している。
電力需給の安定化や再生可能エネルギー(再エネ)の有効活用を促すDR(デマンドレスポンス)活動も推進する。需給の逼迫時に無理のない節電を要請する「下げDR」と、再エネ発電量が過剰になるとき電気の積極使用を依頼する「上げDR」。それぞれを実施する時間帯がオンラインでわかる仕組みをつくった。
これらいずれの事業展開にも中小企業を支える存在でありたいとの思いがある。それが後継者不在などで事業承継問題を抱えるお客様向けのM&A事業参入につながった。何とかして廃業や解散を避け存続してほしい。譲渡側と譲受側の双方にとって最善の方策をともに考え、事業を絶やす企業を1社でも少なくするため力を注いでいる。
案件ごとに異なる最善の方策を探っていくスタンスは省エネ活動支援で培ってきた。事業内容、従業員数、設備状況などで変わる省エネ対策は各事業場で独自のものになる。それをお客様とともに考え、具体化する手伝いを長年続けてきたのだ。「見える化」で省エネ活動のハードルを下げ、そのうえで定期的な接触を保ちユーザーに寄り添うサービスを心がけている。
かけがえのない1社1社のお客様を支え、ともに成長したいとの願いは30年変わらず持ってきた。これからも手放すつもりはなく、その気持ちを持ち続けることが次の30年や持続可能な未来を約束してくれると考えている。
※本記事は、環境市場新聞第80号(2025年4月1日発行)に掲載された記事です。